Secret answer ~キミノトリコ~
「こんな時間に河原(ココ)を指定した俺も俺だけど…もうちょっと危機感持った方がいいんじゃない」
「…ごめんなさい」

返す言葉もなく素直に謝ると、目の前の顔が今度は少し困ったように歪んだ。

「あー、じゃなくて…」
わしゃわしゃと髪を掻きむしりながら、言葉を探すように語尾が小さくなる。

「よかった、来てくれて…正直ちょっと不安だったんだ。あんな伝え方だったし」
「や、私も半信半疑なとこはあったんだけど…」
「…けど?」
「なんとなく、本当かなって。や…本当だったら良いなって思ったのかも」

″21時にあの河原で″。
暗闇で聞こえたあの言葉を思い返して、嬉しかった気持ちは本物だった。

「ふふ」
「な…今人の顔見て笑った?」
「だってなんか…可愛いのにカッコよくて」
「は…」

目の前で嬉しそうな顔をするそーちゃんの姿がどうしようもなく可愛らしくて思わずこぼれたそんな言葉のあとに、照れたように口元を覆った彼。

わ、わたし何言って…
思い切り無意識だった自分の発言が、何だか今更恥ずかしくなった。

「あ…ライブ!今日のライブすごくかっこよかった!それにしてもまさか芸能人になってるなんて思ってもみなかったよ…ていうか、本当にそーちゃんだよね?」

話題を変えようと口を開いたものの、頭の中にいろんな情報がありすぎてうまく言葉がまとまらない。
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