Secret answer ~キミノトリコ~
「ははっ、最後それ?」
「だ、だって聞きたいことありすぎて…ていうか、また会えたことが、信じられなくて」
「えーっと、じゃあ…」

こほんと一度息を吐いてから、目の前の瞳がまっすぐにこちらへと向けられた。

「名前は早見奏。仕事はphaseのパフォーマーで、エバーラスティング所属。歳は25歳。…あとはなんか聞きたいことある?」

突然訪ねられてぱっと頭に浮かんだことを口にする。

「え、えっと…引っ越してから、どこに行ってたの?」
「イギリス」
「い、イギリス!?」
「他には?」

え、えーっと…
「おじさんとおばさんもこっちにいるの?」
「ああ、今はこっちにいる」
「あとは?」

あ、あとは…
「いつから芸能活動してたの?」
「向こうの大学卒業して、日本に帰ってきてからだから…3年前くらい」
「他には…」
「い、今はもう思いつきません!」

勢いよく口を開いた私にそーちゃんが「そっか」と小さく笑った。

「まぁまたなんか聞きたいことがあったら言って。出来る限り答えるから」
「あ、うん…」

あと一つだけあった。…どうしても聞きたいこと。

「今度は…急にいなくならない?」
「…ん、そのつもり」

伸びてきた手が優しく私の右手を取って、目の前にある彼の頬へと導いた。

「触って、ほら。ここにいるから」
「…っ」
「これからいくらでも会えるよ、茉優?」

触れた手から体温が伝わって、至近距離で絡み合った視線が鼓動を高鳴らせる。
目の前にいる彼はあの頃よりも何倍も大人になった、そーちゃんだった。
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