Secret answer ~キミノトリコ~
「奏とはなんの知り合いなの?」
「小さい頃家が近所で…」
「そんな昔から…なるほど。奏がそんな顔で笑うわけだ」
「どういう意味だよ、楽」
「どうも何も良い意味だよ。お前が世話になってるみたいだから…茉優ちゃんにはちゃんと感謝しないと」

なんだろう、楽くんのこの溢れ出る切れ者感…

「おねーさん何歳?」
「え、あ…27ですけど」
「えー!実年齢より若く見えるね!23ぐらいかと思った」
「茉優、こいつ人たらしだから真に受けるなよ」

お世辞だとわかっていても実年齢より若く見られるのは、悪い気はしないというのが正直なところだ。

「じゃあ律とおんなじ?一個下?」
「律くんは今年もう28だし年相応でしょ。もうおっさんだよねー」
「音、お前だけ今日自腹な」
「えーやだごめん、おにーさん!」

音くんは無邪気というかなんというか…
こんなやりとりをみていると、なんだか律さんがお父さんみたいに見えてきてしまう。

「おい、響お前また鞄からなんかはみ出して…」
「…ぐぅ」
「響くん寝てまーす」

そしてステージの上では正統派アイドルな響くんは、わりとマイペースらしい。

「…」
「どうかした?」
「ううん。そーちゃんが一緒に仕事してる人が…みんな素敵な人でよかったなって」
「なんだそれ。まぁでもそれは否定しないかな」

そんなこんなで終始賑やかな車がキラキラ光るネオン街を抜け、窓からとある料亭が見えてくる頃。
…自然に笑えるくらいには、私の緊張はとけていたのだった。
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