Secret answer ~キミノトリコ~
「さっきからなんなの、その百面相」
「な…いや…だって…」
「見てて飽きないからいいけど」

ちょ…今、笑った!?

心情穏やかではない私とは対照的に、目の前の彼はどこまでも落ち着いているらしい。

「あ、なんか覚えてなさそうだから言っとくけど…不法侵入じゃないからね」
ふああ…と欠伸をしながらゆっくりと身体を起こすそーちゃん。

「あんなに情熱的に求められたらね…断れないし」
「はい!?」

27になってまでお酒で記憶無くすとか…
情けないやら恥ずかしいやら、いろんな気持ちでごちゃ混ぜになる頭を思わず抱え込む。

「あ、服脱いだのは茉優だからね。その部屋着を着せたのは俺だけど」
自らの身体に視線を向けた私の思考を見透かしたかのように、言葉が飛んでくる。

ちょっと待って…それ、どういう意味!?

「何を想像してるのか知らないけど…さすがにしてないからね」
「え?」
「最後までは」
付け加えられた最後の言葉が、一筋の光を見事に打ち砕いた。

「何もしてないとは言ってないってこと」
にやっと悪戯な笑みを浮かべながら、細い指が私の髪を優しく撫でる。

それは、途中までは何かがあったってことですか?
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