詩集 風の見たもの
【傍観者】


何を見て何を思うか
はたからは知る由も無い。

自分だけ安全確保。
当事者の射程外から

身を隠し勝手気ままに
罵詈雑言放ちまくって

加害者の醜悪ぶりも
被害者の傷つく様も

自らの茶飲み話に
あつらえて面白おかしく

楽しげにわめきたててる。
万が一風向き変わって

矛先が自分に向いたら
泣き叫び被害者ぶって

大騒ぎ。その癖そうは
考えず、人をいたぶり

傷つけて楽しみつづけ
ひたすらに堕ちゆく。

直(じか)に手を出してはいない。
しかし手を差し伸べもせず

外野から、興味本意で好き勝手、
言うも無茶苦茶聞くも無茶苦茶。


さばえなす騒ぐ野次馬、傍観者。
 無視して歩め。気にしたら負け。
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