詩集 風の見たもの
【人】

長い時間が過ぎ去って、ふと気がつけばそれはいた。
いつからいたのかつゆ知らず、何処から来かも分からない。

自己中、傲慢、それでいて他者の視線も気に掛かり、
恰好つけては恥をかく。げにあさましい、人の性。

奴等はやたら群れたがる。独りじゃ何も出来ないが、
寄り集まれば災禍なす、無視の出来ない有り様に、

流石の風も困り果て、ままよと全て吹き飛ばす。
同じ思いの雷と雨も大地も力添え。

天変地異と人は云う。天変地異はおまえらじゃ!!

掃除する事幾度か、それでも人は生えてくる。
何度やっても心根はそれほど変わる訳もない。

最後は決まって大騒動。毎度の事だがいい加減、
風の精たち慣れてきて、頃合い計るまでになる。

何度やっても変わらない。人が生まれて滅ぶまで、
多少の長短あるものの、おおよそ十万八千年。
< 4 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop