詩集 風の見たもの
【寒い朝】

肌寒い朝の息吹を感じつつ歩き始める。
カサカサと落ちた枯れ葉に追い抜かれ空を見上げる。

夜明け前、薄ぼんやりと見えている街の道筋。
喧騒の始まる予兆。蠢いている人の群れ。

上辺だけ飾るだけしか能のない虚ろな人々。
一人では何も出来ない限りなく無恥な人々。

何となく周りに合わせて十分に自分は上手く
やってると思っているのは自分だけ。とんだ道化だ。

見栄えだけ整えてるのが滑稽で憐れでもある。
それもまた人の性だと言う者のしたり顔こそ

小賢しい。自己の堕落を正当化、人も貶(おとし)め
健全な道の歩みを妨げる。自覚も無しに。

唐突に声が上がって人々の動きが止まる。
木枯らしが気まぐれ心でからかっていた。


木枯らしと共に行く朝 日の出前
 重い足取り ただ前を向く 
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