傷つけたいほどに憎み、輝く君を思う
この場所にいれば何もかも変わることができるかもしれないと始めたバンド。


「俺たちのバンドメジャーデビューするってよ!!」


忘れもしない3月の桜のつぼみが出てきた頃、親友が息を切らしてスタジオに入ってきた。


これでやっと俺は、人として生きていける才能を持つことができる。


日の当たる場所に出られる。


そう思っていたはずだったのに。


今歩いている感覚を忘れ、どこにいるかも分からず、あてもなく彷徨う。


『なんのために…』

『なんのために今までやってきた?』

『なんで俺はここまで生きてきた』

『何を求めて生きてきたんだ』


途中で立ち止まり、俺は地面に倒れ伏した。


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