傷つけたいほどに憎み、輝く君を思う

あいつの目線の先は、魚が悠々と泳いでいる大きな生け簀だった。 


「うん。あそこのお風呂入ろう…」


「は?ユリ、待て!」


あきれたことに、あいつは生け簀と風呂場を勘違いしているようだ。 


下着姿になるためにスカートを降ろそうとした。


「うーん、離してー!」


俺は、咄嗟にあいつの降ろそうとしている方の腕を掴んだ。


「よく見ろ!ここは風呂場じゃない」


「うるさーーーい!」

あいつは、逆切れして手を掴むのを嫌がり、バタバタと暴れ、手を離そうとする。そして、いくら言っても聞く耳を持たない。



「痛い!離して…お風呂に入るんだから!」」


手を離せば、あいつは確実に裸になる。


こんなんだと通報騒ぎになってもおかしくない。


あいつの酔いを覚ますには、どうしたら良いのか?





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