傷つけたいほどに憎み、輝く君を思う
深い闇のような海の色が目の前に広がる。


柵を登り、身を乗り出せば、きっとこの闇の底に行けるだろうこの場所に、体が勝手に引きずられて行く。


「ねぇ!綺麗でしょ?」


潮風にあたり、両手を広げて気持ち良さそうに息しているあいつ。


隣を見ると、立ち並んだ街灯、高層ビルの窓の灯り、橋の上で走る車のライト、看板の電飾、色とりどりの落ち着いた夜景の景色と、あいつの表情が重なった。


「…アサト?」


嫌味なほどに、あいつの姿は、この夜景にぴったりだった。 

「ねぇ、アサト。私…何て言われようとアサトのこと…大好きだからね。諦めないからね」


汚れのない、純粋な目で見てくる。


奥の噴水が吹き出して、大きく音をたてる。


あいつの目が嫌いだ。


真っ直ぐに見て、一度目が合うと捕らわれて離さない。



澄んだ綺麗な瞳。


夜の闇を照らし出す、その夜景のような明るい笑顔。

















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