傷つけたいほどに憎み、輝く君を思う
「おい、まさかここで眠る気か?」


「もう…むり…我慢…できない…ここで寝る…」


「バカかお前?」


「おやす---」


「おい!!」


咄嗟に手を差し伸べても、こいつはそのまま地面に座り込み、寝息を立てて眠り始めた。


いくら起こしても、器用に座ったままあいつは起きない。


思い出せば飲みの時、あいつは騒ぎに騒いだ後、ある程度納得すると眠り始める。


どうしようもないから、大体スタッフが汗をかきながら、あいつをタクシーまで背負ってのせて、美春が一緒にタクシーに乗って帰らせていた。


今度は俺が連れ出してしまった責任もあるし、誰も手を貸してくれる人もいないので、嫌でもこいつを背負い、送っていかなければならない。


「あー…めんどくさい…」

木々が立ち並ぶ公園の中を、どうしてこうしているのかと、こいつを連れ出したことを後悔し、うんざりした思いで、ため息をしながら運んでいた。


「お!これ……おか…わり…」


でも、途中からこいつの普通の男よりもひどい見事な酔っぱらい様を思い出し、笑いがこみあげた。

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