傷つけたいほどに憎み、輝く君を思う
決意

残りの時間

どしゃぶりの雨が、自分の部屋の窓を叩いている。


『お前がまさか、今や国民的バンドのメンバーだとはな。まだお前が息子として使い駒になるとは思わなかったな』


灯りのない真っ暗な部屋の中、ベットに寝ていても体がバラバラになっていくような感覚に陥った。



『俺がお前の病気を治すからな!絶対に!俺たちのバンドをこんなことで終わらせないからな!!』



眠ろうとしても、外の音が耳に響いて全く眠れない。



『お前を養子としていたことを、世間に公表する。そうしたら、世間からの支持はますます上がり、次の選挙にも有利に働く』



起きようとしてもベットの上に自分の体が深く沈み、力は抜けて、ベットから起き上がれない。


『手術を受けたら、生きれるんでしょう?なんでそれなのに受けないの?この世の中ね、生きたくても生きれない人だっているんだよ。そんなのおかしいよ!!』


会社にも、メンバーにも俺が病気だと知られてしまった。


そして、同じ時期に育ての義理の親から俺は政治の道具として利用されようとしていた。


『次の全国ツアーで君は終わりだ。体を売ってまで、この場所に執着して無様なもんだな』

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