砂漠の酒盛りに迷いこんだ猫
パチン。


ウワバミが白い碁石を打つと、尻尾で器用に盃を持ち上げました。


くぱぁ。


真っ赤な口が開き、盃ごとごっくんと飲み干します。
ウワバミがにたりと笑うと、なんともいえない臭いがしました。


『ひどい臭いだなぁ。一度も歯を磨いたことがないかもしれない。ウワバミに歯がないのは、きっと虫歯になったからだね』


辺りには蓮の葉に盛り付けられた肉団子が並んでいます。
ウワバミは肉団子を丸呑みにすると、蓮の葉をぺっと吐き出して散らかし放題。
あまりにもたくさんの肉団子がぱっぱと飲み込まれていきます。
ウワバミがちゃんと味わっているのかあやしいものでした。


それを見てネモはぎょっとしました。
ウワバミの体は肉団子を食べるたびに、まるでさやえんどうのようにぼこぼこ醜く膨れ上がっていくのです。


そのとき、お母さんの一言が蘇ります。


『きちんと噛んで食べようね。食べたら歯を磨いてね』


もしお母さんがここにいたら、ウワバミにお説教を始めるなと考え、ネモは笑いを堪えました。
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