砂漠の酒盛りに迷いこんだ猫
「助けて!」


ネモは真っ暗な中をゴロゴロ転がります。
でも、いつまでたっても胃袋にたどり着きません。まるで長い滑り台を落ちていくようです。


とうとう動きが止まったとき、顔をあげたネモは目をまん丸にしました。
そこはいつもの自分のベッドだったのです。布団の中は落花生の殻が散らばっています。


「戻ってきたんだ!」


ほっとしたのもつかの間、ネモはすぐに顔をこわばらせました。


トン、トン。
ドン、ドン。
ドンッ、ドン!


誰かが玄関の扉を叩いているのです。
まるでウワバミが八つ当たりをしているときのような音でした。


もしかしてウワバミが追いかけてきたのかもしれません。


おそるおそる玄関を開けてみると、そこに立っていたのはお母さんでした。
両手にたくさんの荷物を抱えています。


「ああ、やっと開けてくれたわね。ただいま!」


「お母さん、おかえりなさい!」


ネモが顔を輝かせて抱きつきます。甘くて懐かしい匂いがしました。
お母さんは嬉しそうにしていましたが、散らかり放題の部屋に気づいて呆れたように言いました。


「まぁ、パーティーでもしていたの?」


「はは、うん、囲碁をね、見物してきたんだよ」


ネモはそう言うと、ぎゅうっとまたお母さんに抱きついたのでした。
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