砂漠の酒盛りに迷いこんだ猫
パチン。


どこからか乾いた音がしました。
落花生を割る音に似ていましたが、ネモではありません。
でも、この家にはネモしかいません。


パチン。


それでも、また音がしました。
よく見ると、布団の奥にぼんやりと明かりが見えます。


「なんだ、あれは?」


落花生の入った袋を握りしめ、四つん這いで近づいてみました。
けれど、ネモは「おや」と困った顔になりました。
だってもうずいぶんと動いているのに、いっこうに布団の外に出られないのです。


「どうも、妙なところに迷いこんだらしいぞ」


引き返そうか迷ったとき、明かりの向こうから『パチン』という音がしました。
そろそろと歩み寄ると、温かい空気が流れてきます。
眩しさに目を細めながら、ネモは思い切って、明かりの向こうに足を踏み出しました。
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