偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「彼女、いつも、すっごくいい匂いさせてるし。他人を不快にさせないフレグランスを心得てる、って感じなのよねー。
それに着ている服だって決してダサくないのよ?自分の体型のラインによく合ってて、それでいてさりげなく流行も採り入れていて、とにかくオシャレなの」
麻琴がどんどん「状況証拠」を積み重ねていく。
いつの間にか、本題の「山口の恋バナ」よりもずっと話が弾んでいた。
「あ、確かに……後ろ姿だけは、前に回って顔を見てみたくなるほど、スタイルいいかも」
山口が閃いたように言う。
「でしょ?」と麻琴がドヤ顔をする。
「……じゃあ、なんでダサく見えるんだ?」
青山までもが話に加わってきた。
石井が顎に手をあてて、名探偵のように「推理」する。
「あのヘンな前髪のせいじゃないか?
……あと、あのでっかい眼鏡かな?」
あのぱっつんな前髪とバカでかい眼鏡は「ちょっと、ありえないよな?」という意見が全員の共通見解となる。
「それとね……不思議なことがあるの」
麻琴が声を潜めて言った。