偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

♧交錯♧


(やや)は魂を抜かれたかのごとく、テレコムセンターを出て、ゆりかもめに揺られた。
途中、新橋で山手線に、神田で中央線に乗り換えた記憶もなかった。

だが、今こうして無事、天沼の1Kのマンションに帰ってきているのだから、きっとちゃんと電車に乗ってきたのだろう。

「……はぁ……どうしょう……」

稍は、歴代の彼氏と違ってどんなにも裏切らない無印の「体にフィットするソファ・ミニサイズ」へ突っ伏した。

今日は帰ってからずっと、なにも食べていない。食べる気も起こらないのだ。

……いきなり、無職になってしもうたぁ。

すると、そのとき、ローテーブルの上に置いていたスマホから、♪ピンポーンと軽快な着信音が鳴った。

沙知から、GWのお誘いかもしれない。

こうなったら、この一ヶ月の経緯をぶちまけて、話を聞いてもらおう。

稍はのそのそと起き上がって、スマホを覗き込んだ。

ポップアップされた文字は……

【青山 智史(さとふみ)

……なんで、あいつから⁉︎

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