偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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麻琴は残業を終えるとすぐに、お台場海浜公園の駅近くのタワマンの1LDKの部屋に帰った。

豚のスペアリブを解凍している間に、アメリカで九十年以上の実績を誇るミキサー「ヴァイタミックス」でイタリアントマトを徹底的に粉砕し、キューブ型に凍らせたスープストックを冷蔵庫から出してきて、旬の野菜たっぷりのミネストローネをつくる。

解凍したスペアリブは塩胡椒して、玉ねぎなどの野菜と一緒に軽く炒め、スープストック・赤ワイン・調味料と一緒に圧力鍋へ入れた。

「……あとは、前菜にアボカドやチェダーチーズに、冷凍のいくらを散らしたカナッペでいいか」

青山は夜には炭水化物をほとんど摂らない。
せいぜいカナッペのクラッカーくらいだ。
その代わり、タンパク質の豊富な料理を好む。

本当は、牛肉ではなく真鯛などあっさりした白身の魚でカルパッチョをつくりたかったが、青山に「今夜、寄る」と言われてあわてて帰ったため、買い物をしていない。

麻琴は「そうだ、明日からGWだし、とっておきのワインでも開けちゃおうかなぁ」と、パントリーにしている収納棚を開けた。

激務の青山は時間が空いたときに「今晩、寄るから」と言って、麻琴の部屋にふらっとやって来る。

だから、麻琴は一見手の込んだ料理がいつでも出せるよう、休みの日に透き通るような黄金(こがね)色のスープストックを準備していた。

このスープストックと圧力鍋が、麻琴の強い味方である。

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