偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「ど、ど、ど、どしたん⁉︎
……あ、空き巣に入られたん⁉︎」

軽く二十帖はありそうな広ーいリビングには、足の踏み場もなく、物が散乱していた。

「……入られてへんわ、シバくぞ、ボケ」

苦虫を噛み潰したような顔で、青山がゴミ袋を片手に立っていた。

「仕事が忙しすぎるんや。
せやから、いつもまとまった休みになったら、がーっと一気に片付けることになる」

青山は、はぁーっと深いため息を吐いて、前髪をくしゃっとかき上げる。

……あれ? なんか雰囲気が違うくない?

いつも会社では、前髪をヘアワックスで後ろへ流しているのに、今日の青山はセットせず、無造作に下ろしているのだ。また、リムレスの眼鏡もかけていない。

さらに、アメリカンイーグルのTシャツに迷彩柄のジョガーパンツという、いかにも「休日」な格好である。

会社では人を寄せつけない冷淡な雰囲気のせいか、年齢以上の落ち着きを感じさせるのに、今日の青山は二十代だと言っても通用しそうだ。


……なんやぁ、自分かって「変装」しててんやんかぁっ。

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