偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
その人が、振り向く。
課長と同じようなヘアワックスで流した黒髪なのに、なぜか一分の隙もなく感じた。
窓から差し込む陽光がリムレスの眼鏡のレンズに反射して、キラリと光る。
やわらかな暖かい日差しのはずが、一気に冷え切り、いきなり室内の気温が下がったような気がした。
絶対に会いたくなかった顔が、そこにあった。
「チームリーダーの青山だ」
……あ、あ、あいつだ。
今日はエイプリルフール。
だから、これはタチの悪いドッキリではなかろうか。
……な、な、なんで、配属先があいつのチームなのようっ。
目の前には小学校のときの同級生……
……青山 智史がいた。