偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
しばらくすると、智史が今度は力を抜いて、稍のやわらかいくちびるを「はむはむ」してきた。
「いい加減、口を開けろ」の催促だ。
稍が自らくちびるを開くのはなんだか癪なので、無視して心地よく「はむはむ」されていると、さらに舌先で「つんつん」と閉じたくちびるの間をノックしてきた。
稍が息継ぎをする合間に薄目を開けて「なによ?」と様子を伺うと、同じように薄目を開けていた智史と目が合った。薄目なのに睨んでいるのが、はっきりとわかる。
稍は迂闊にも、ほんのちょっとだけ怯んでしまった。
すると、その隙を突いて、智史が稍のくちびるをぺろり、と舐めた。とたんに稍のくちびるがふわり、と開いてしまう。
そこへ、待ってましたとばかりに智史の舌が割り込んできた。