偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

しばらくすると、智史が今度は力を抜いて、稍のやわらかいくちびるを「はむはむ」してきた。

「いい加減、口を開けろ」の催促だ。

稍が自らくちびるを開くのはなんだか癪なので、無視して心地よく「はむはむ」されていると、さらに舌先で「つんつん」と閉じたくちびるの間をノックしてきた。

稍が息継ぎをする合間に薄目を開けて「なによ?」と様子を伺うと、同じように薄目を開けていた智史と目が合った。薄目なのに睨んでいるのが、はっきりとわかる。

稍は迂闊にも、ほんのちょっとだけ(ひる)んでしまった。

すると、その隙を突いて、智史が稍のくちびるをぺろり、と舐めた。とたんに稍のくちびるがふわり、と開いてしまう。

そこへ、待ってましたとばかりに智史の舌が割り込んできた。

< 223 / 606 >

この作品をシェア

pagetop