偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「ふうん。おまえの親父さん……おっちゃんが『それで、もうええ』って言うんやったら、仕方(しゃあ)ないやんけ」

智史が冷静な判断を下す。

「せやけど……あたしにはなんか、栞への『当てつけ』のような気がしてならへんねんけど」

稍の表情が暗く曇る。

「別居してからおまえと栞を引き取って、ずっと育ててきたのは、おばちゃんやのうて、おっちゃんやろ? そんなことしはるか?」

「でも、あたしらでも、栞がおとうさんの子やない、って気ぃついてんのよ?」

確かに、稍の父親が気づかないわけがない、とは智史も思っていた。

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