偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「ところでさ……智くんはなんで、このこと知ってんのん?」

赤ちゃんだった栞と離れたとき、智史はまだ小学生だった。一緒に暮らす中で、父と栞の顔立ち・性格や嗜好の相違などからなんとなく悟った稍とは、触れ合った「歴史」が違いすぎる。

「あぁ……おれが中学生のとき、オカンが親戚のおっさんと、こそこそ話をしとったんを立ち聞きしたんや」

智史はこともなげに言った。

自分に妹がいたこと、そしてそれが稍の妹である栞だったこと……一瞬、まさか稍もか⁉︎と肝を冷やしたこと。

……そのとき受けた衝撃は、だれにも話すつもりはない。墓場まで持っていってやる。

だから、話を逸らした。

< 231 / 606 >

この作品をシェア

pagetop