偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「そんなことよりも……栞をここに呼ぶか?
まぁ、『お兄ちゃんとお姉ちゃん』が住んでる『新婚さんの愛の巣』でも栞が構わへんって言うたら、の話やけどな」
……こんな真面目な話してるときに、なに言うてんのよっ!
稍は完全スルーした。
「あたしも栞には『東京においで』って言うてんけど」
稍は栞が今、ある作家のアシスタントのようなことをしている話をした。
「……なんていう作家や?」
智史は訝しげな顔をして、迷彩柄のジョガーパンツのポケットをまさぐって、スマホを取り出した。速攻でググるらしい。
「さぁ?」
稍は正直に答えた。
栞とその作家との取り決めで、名前は明かせないことになっていて、稍にも知らされていなかったからだ。