偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「あ、忘れてたっ! 冷蔵庫貸してっ」

稍はあわてて玄関へ向かった。
智史も何事かと後ろをついてくる。

「一週間も家を空けるから、うちの冷蔵庫の中のものを持ってきてん」

稍は玄関先に置いていたオレンジのキャリーバッグを持ち上げた。智史は傍らの大きな銀白色のスーツケースを手にする。
二つともハンズプラスのものだ。

「おまえが使ってもええ部屋に置いとくぞ」

一部屋余っていると言っていた部屋である。
その部屋は玄関脇にあった。
智史が、木目が美しいダークブラウンのドアを開ける。

「あ、サンキュ……ねぇ、どんな部屋か見てもええ?」

稍はいそいそと、智史の背中越しに中を覗いた。


……なんじゃ、こりゃ⁉︎

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