偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「あ、魚住課長に惚れちゃダメよ」
麻琴が、ふふん、と笑う。
稍はようやく我に返った。
……ちょっぴりトキメいてたのがバレてたか?
「課長、結婚指輪されてましたよね?」
稍は上目遣いで探るように訊いた。
「触らぬ不倫に修羅場なし」が稍のポリシーだ。
「そうよ。よく見てたわね。妻子持ちよ。
課長の奥さま、課長とは小学校の同級生だったらしいんだけど、再会した時に人妻だったの。
それを課長ったら、自分と同棲するために別居させたあと、夫に直談判して離婚に同意させたそうよ」
……ひっ、ひえええぇぇぇ。
「そうまでして手に入れた奥さまだから、子どもが生まれてもまだラブラブの超愛妻家なの。
……なのに、社内では無謀にも告白って玉砕してる子が続出してるのよ。
『愛人でもいいから』なんて、どうかしてるわ」
麻琴は肩を竦めて苦笑した。
そして、私物を入れておくロッカーへ案内してくれた。