偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
小笠原の見目麗しい王子さまの顔が……
とんでもなくありえないものを見てしまって、もしかしたら自分は明日、不慮の事故かなにかでこの世を去るかもしれない、という驚愕の表情になっていた。いわゆる「ムンク」の顔だ。
「……すっげぇ、『ややちゃん』の威力。
おれ、青山とは知り合ってから四半世紀近くなるけど、あんな顔見たん、初めてや……」
店員のお姉さんが「一カラット以上になると価格が跳ね上がるし、カット・カラー・クラリティなどほかのグレードを揃えるのが難しくなるため、賢明なチョイスですよ」と説明していたが、小笠原にはなにも耳に入らなかった。
確かに、〇・八八カラットのハーモニーには、エクセレントカットのDカラーでVVS1のクラリティという、なかなかお目にかかれないダイヤモンドが施されていた。