偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
マリッジリングのハーモニーは二種類あった。
ダイヤ付きと、ダイヤなしだ。
二つともセンターがくびれていて、アームのぷっくりした曲線が愛らしい。
マリッジだけでもデザイン性が高いから充分なのだが、エンゲージを重ねづけするとちょうどくびれた部分にダイヤがきて、ぴったりと重なる。
「どちらでもいいぞ。ほかのものを見てもいいし」
智史の中には相変わらず「お大尽」さまと「成金」さまが同居中だ。
「ややちゃん、青山はこの店を指定したけど、うちに入ってる店なら、ここじゃなくてもいいんだよ?」
女の子というのは、もっとあれこれ迷うものだと信じて疑わない小笠原は、稍が遠慮して早く決めようとしているのだ、と思った。
「いいんです……こちらのダイヤなしの方にします」
稍はあっけなく決めた。
どうせ「偽装結婚」なのだから、相手と揃える必要もないだろう。
……男の人が『こんなオカマみたいなの、つけられるか⁉︎』っていうようなデザインでも、心置きなく選べるやん♡