偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

マリッジリングのハーモニーは二種類あった。
ダイヤ付きと、ダイヤなしだ。

二つともセンターがくびれていて、アームのぷっくりした曲線が愛らしい。
マリッジだけでもデザイン性が高いから充分なのだが、エンゲージを重ねづけするとちょうどくびれた部分にダイヤがきて、ぴったりと重なる。

「どちらでもいいぞ。ほかのものを見てもいいし」

智史の中には相変わらず「お大尽」さまと「成金」さまが同居中だ。

「ややちゃん、青山はこの店を指定したけど、うちに入ってる店なら、ここじゃなくてもいいんだよ?」

女の子というのは、もっとあれこれ迷うものだと信じて疑わない小笠原は、稍が遠慮して早く決めようとしているのだ、と思った。

「いいんです……こちらのダイヤなしの方にします」

稍はあっけなく決めた。
どうせ「偽装結婚」なのだから、相手と揃える必要もないだろう。

……男の人が『こんなオカマみたいなの、つけられるか⁉︎』っていうようなデザインでも、心置きなく選べるやん♡

< 273 / 606 >

この作品をシェア

pagetop