偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「あれっ……似合って……る?」

小笠原が間抜けな声を出す。

智史の長い指はUSサイズの七で男としては確かに細めなのだが、だからといって手自体は大きくて筋張っているため、決して女性らしいものではない。

なのに、こんなにフェミニンな雰囲気のハーモニーが実にしっくりと馴染んでいた。

「すっごく……似合ってるよぉ、智くーんっ!
魚住課長のカルティエ・バレリーナよりもセクシーかもっ!」

稍は智史の腕を、ばしばし叩いた。

()てぇなぁ……それに、なんであの人と較べられなきゃなんないんだよ」

智史が顔を(しか)める。


かくして、二人の「偽装工作」の結婚指輪が決まった。

ティファニーのハーモニーのダイヤのないタイプで、稍はローズゴールドに心が揺れたが、結局は肌馴染みが良く見えるプラチナリングとなった。

智史もまったく同じリングだ。

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