偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「稍と結婚する」

智史は単刀直入に、何の装飾もなく告げた。

ただ、そう告げた瞬間、稍と「恋人つなぎ」した手にギュッ、と力がこもった。

「わたしは……前世でどんな因果があったのかしらね?」

口の端を上げて、その人……青山 登茂子(ともこ)は笑ったように見えたが、その切れ長の目は決して笑ってはいなかった。それどころか、ますます鋭さを増している。

「夫どころか……一人息子にまで『コケにされる』なんてね?」

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