偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「稍?……緊張してんのか?」

智史が今度は心配そうに稍の顔を覗き込む。
いとおしそうに、片方の大きな手のひらで稍の青ざめた頬を包み込んだ。

……ちょ、ちょっとっ!
あんた、自分の母親の前で、なにやってんのよぉっ⁉︎

……それに、顔が近いからっ!
そんなに顔を近づけられると、思い出してしまうやんっ。

リビングで、智史とキスをしたときのことだ。
なんだか、つるっつるでふわっふわな、この革張りのソファの感触も似ている。

たちまちのうちに稍の頬がぽおっと赤くなり、みるみるうちに顔中が真っ赤っかに染まった。

彼の母親に見られたくなくて、稍は俯いた。

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