偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
仕方がないので、稍はネットで「エクセルを使った見やすいグラフの作り方」をググった。
前職の証券会社では数字の入力くらいでしか、PCは使わなかった。
だが、もともと、PCは嫌いではない。大学の一般教養でも必修でなかったのにもかかわらず、プログラミングの実務講義を履修したくらいだ。
だから、ググったサイトもざーっと目を通すだけで、すぐに「独学」で手をつけていった。
「アラレちゃん」のマンガを持っていた叔父が自作するほどのPC好きで、Macなどの「ヴィンテージ」PCを自分でメンテしながらコレクションしていた。
今ではマイクロソフト社のOSであるウィンドウズの表計算ソフト「Excel」が主流だが、稍が小学生の頃初めて触った表計算ソフトは、MS-DOSの「Lotus 1-2-3」だ。
「自由にいじるといい」と叔父が自作したものを譲り受けたPCのOSがMS-DOSだったのだ。
Windows 95がまだ発売される前のことだ。
真っ黒な画面に浮かび上がる白い文字。
ヘルプで使い方を探っていたら「関数」と出会った。暗号みたいなのを入力するだけで、いろんな計算を瞬時にしてくれるのを目の当たりにして、
「なんて便利なんだろう。どういう仕組みでこんなことができるんだろう」
と胸が高鳴った。
……そういえば、そのときにも、隣には「こいつ」がいたっけ。