偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

稍は今度こそ本気で無印のソファに突っ伏した。完全にメンタルをやられた。立ち直れそうにもない。

「稍、なんでこれだけ一本しか買わへんねん?
金はやるから、今度からもっと()うてこい」

……なんでも金でなんとかなると思うなよっ⁉︎

稍は無印のソファに委ねたその身を震わせながら、全身全霊で智史に悪態をついた。

「稍……どうした?なに拗ねてんねん?
そんなに焼きとりが食いたかったんか?」

稍が機嫌を損ねたというのが、やっとわかったのだろう。少し甘い声になる。

だが、しかし……

「焼きとりを食われただけで、拗ねるとは」

ふっ、と笑い声がした。

「……意地汚い女やな」

……な、な、なんやとぉぅ⁉︎

稍は怒りのあまり、がばっ、と起き上がった。

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