偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

リビングに残された稍はブラトップのストラップを直し、放り投げられていたオフショルダーを「回収」して再び着た。

スタイルフリーの残りを、くぅーっと一気に呑んだ。それから、ローテーブルに広げられた空の缶や焼きとりの竹串を片付けた。

そして、廊下に出ると、智史はまだ麻琴と通話していた。

「……いつから、って、おまえよりもずっと昔から知ってる女だ。幼なじみだからな」

たぶん「結婚」する相手のことを聞かれているのであろう。
察しのよい彼女のことだから、突然すぎる話の不自然な点に気づいたのかもしれない。

麻琴は、ステーショナリーネットでの稍の不審な点に関しても疑惑を抱いていた。

「今すぐなんて……行けるわけないだろう?
……おまえ……そんな面倒な女だったっけ?」

智史は呆れた口調で言ってから、ため息を吐いた。完全に「青山」になっていた。

「それに、おれは明日、結婚する相手を連れて神戸に帰るんだ」

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