偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

智史のくちびるが、一瞬だけ、稍のくちびるに、ふわっと触れた。

そのあと、智史は稍を、ぎゅうぅっと力いっぱい抱きしめた。

稍はどうすることもできず、ただ抱きしめられるがままだった。

「男」の力には、到底(あらが)えないことを……
「男」に(ゆだ)ねることでもたらされる、言いようのない安心感を……


稍はそのとき、初めて知った。

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