偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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「……智史」

智史の母親の登茂子が、息子の顔を見るなり手を伸ばした。いつも毅然とした雰囲気の彼女の顔が、苦しげに歪んだ。

「おかあさんっ」

智史は稍の手を解いて、母の元へ走った。
しがみついて、うわぁああっ、と泣き始めた。
我慢していたのが、一気に(ほど)けたのだ。

避難所では稍たち小学生の「中心」となってあらゆる困難を取りまとめ、大人たちから感心され重宝がられた智史であったが……

今は自分の母親に甘える、年相応の「小学生の男の子」に戻っていた。


稍もつられて泣き出した。
父親にしがみついて、わんわん泣いた。

するとそんな姉の姿につられたのか、父親に抱かれた栞までも声を限りに大泣きし始めた。

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