偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

『……でもなぁ、おねえちゃん。
あの人やのうてよかったんとちゃう?』

栞ははんなりとそう言って、ふふっと笑った。

今年の正月に実家に帰省したとき、父親と栞に野田を会わせた。

初対面の稍の父に緊張しまくって「お嬢さんをください」をやった野田に対して、
『三十歳を過ぎた娘の結婚に、今さら反対なんかできませんよ』と父は苦笑していた。

栞は神妙な顔つきで、なにも言わず、ただ野田をじぃーっと見つめていた。

『あのとき、あの人見てて「なぁんか(ちゃ)うなぁ」って思ったもん。あの人におねえちゃんは、もったいなかったわぁ』

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