偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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朝食は、最上階のメインダイニングでのビュッフェだ。さすが神戸はパンの街だけあって、どれも美味(おい)しそうだ。ワッフルもある。

「稍、パン食べすぎたらあかんぞ。
ここはカレーが昔からの名物らしいから」

智史が笑いながら忠告してくれる。

なんと、スパークリングワインまであったのだが、智史はこれから車を運転するからダメだ。

稍には「呑め」と言ってくれたけれど、これから会わなければならない「相手」のことを考えると、とても呑めなかった。

それでも、稍は名物のカレーはもちろん、飲茶のお粥まで食べた。「別腹」のマンゴーなどのフルーツも堪能した。

「ん……もう、お腹いっぱいではちきれそうやぁ。お昼ごはん、いらへんかもー」

苦しそうな顔で智史に訴える。
フロントリボンのワンピでよかった。
スーツだったら、ウエストがヤバい。

智史の顔が笑いを噛み殺したようになった。
普段節制している彼ですら、カレーをおかわりしていた。稍ほどでないにしても、食べすぎた。
そのくらい、美味しかった。

神戸の街並みが一望できる、窓際に面したテーブルだった。だから、料理をチョイスしている客たちには背を向けていた。

そのとき、智史の顔が近づいてきて、稍のくちびるに、ちゅっ、とそのくちびるが触れた。

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