偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
♧自覚♧
「……なんだ、休暇中だぞ。こっちはまだ神戸だ。緊急か?」
先刻までの声からは考えられない、氷点下の標準語仕様だ。どうやら仕事の件らしい。
麻琴の通話からは、海外の工場から届いた商品に不具合があったらしく、早急に連絡をとってラインをストップさせたいというような内容が窺えた。
「……よし、わかった。現地の方はおれがなんとかする。引き続き、チームリーダーには連絡とってくれ」
通話が終わった智史は、まだ険しい顔をしていた。
「今から、Wi-Fiが使えるとこに移動せなあかんようになった。渡辺が休出してて、同じく休出してた他チームの者が血相変えて相談してきたらしい。早う手を打たんと、自主回収の対象になるかもしれへんのに、担当のチームリーダーが捕まらへんらしい。とりあえず、おれが現地に連絡することになった」