偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
稍の心に、言い知れぬ不安が込み上げてきた。
なんでも理詰めで考える智史のことだ。
もし、稍と「偽装結婚」する必要がなくなれば、直ちに解消するだろう。
現に「カラダの関係」だけでつき合っていた麻琴を、稍をその代わりにしようと決めたとたん、すっぱりと「切った」ではないか。
ステーショナリーネットの「給湯室」であんなに甘い声だったのに、今では絶対零度の氷結した声だ。
稍はぶるっ、と身震いした。
智史が稍と「偽装結婚」しようと思ったのは、みどりと洋史への「復讐」のためだった。
そして今日、智史は彼らに「復讐」した。
それが成功したか失敗に終わったかは、智史しか知る由もない。
だが、少なくとも稍の目から見る智史は、
「曲がりなりにも果たせた」ように映るのだ。