偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
Chapter10

♧心機♧


「……おい、(やや)、起きろ。朝やぞ」

その声に、稍の目がぱっ、と見開く。

智史(さとふみ)がベッド脇に立っていた。
すでにランニングへ行ったあと、シャワーまで浴びていた。

……どっから湧いてくる、その体力⁉︎

稍は仰天した。

昨夜は、稍の疲れも限界も顧みることなく「今週末までの分」が、これでもかあれでもかそれでもか、と「実行」されたというのに……
さらに、智史への気持ちを自覚した稍は、すっかり身も心も捧げて言いなりになった。

今までどんな人にもやってなかったことまで、彼にはやってしまった記憶がまざまざと甦る。

……あかん、ますますセフレまっしぐら、やんかぁー。

ぐったりと精も根も尽きた稍は「後悔」とともにベッドにめり込みそうだ。


身体(からだ)しんどいか?……せやけど、あんなことまでするおまえも悪いんやぞ」

智史は身を屈めて、稍のくちびるにちゅっ、とキスをした。

「トーストは焼いといたから、ダイニングに来い……あ、カフェオレは淹れてくれよ」

そして、先にダイニングへ向かうために寝室を出ようとした智史が、くるりと振り返った。

「……今週は水曜日やったら、早く帰れるかもな」

意味ありげに、にやり、と笑った。

……絶対に、確実に、カラダが()たないんですけれどもっ!

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