偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

智史の焼いたトーストに、稍のつくったハムエッグを食べたあと、稍の淹れたカフェオレを飲む。

いつまでも、まったりとぼーっとしている稍に、出社の準備をしている智史が声をかける。

「おい、稍。なにしてんねん?()よ、支度しろ。遅れるぞ」

稍は「へ?」と間抜けた顔になる。

……先月末で無職になったあたしは、今日からお気楽な「専業主婦」生活ですけど?

「あ、今日は初日やから、この前華丸で買うた上と下が揃ってるヤツにしろよ」

柔らかプリーツスカートのセットアップのことを言っているのだ。

「……ねぇ、どこに行くのん?」

怪訝な顔で、稍は智史を見上げた。

「あとでわかる」

智史はそれしか言わない。

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