偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
♧目撃♧
翌朝、稍は前の会社での通勤着でステーショナリーネットへ出社することにした。
クローゼットから、シフォンの白いブラウスとネイビーのボックスプリーツのスカートを取り出して着る。甘めの白いシフォンをネイビーのスカートがビシッと締めてくれるので、甘辛加減が通勤着としてちょうどいい。また、ボックスプリーツの幅が絶妙で、脚を細く長く見せてくれた。
それから、昨日と同じく、髪を後ろで一つくくりにして「ぱっつん前髪ウィッグ」に「アラレちゃん」を「装着」する。
……すると、あら不思議。
「実は、阿佐ヶ谷姉妹の三女なんです」と名乗れるほど、イケてないコーラス隊の一員みたいな風貌になった。
稍は満足げに肯いた。変装は「成功」だ。
ジャパニーズチェリーブロッサムをシュッ、シュッ、とプッシュし、肌寒い時のためにとカーディガンを手にする。
本当は五センチヒールを履きたいところをぐっと我慢してリーガルのモカシンに足を入れ、稍はそれでも意気揚々と家を出て、阿佐ヶ谷駅の隣の荻窪駅に向かった。