偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

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ステーショナリーネットが入るワンフロアの奥に、取締役から上の重役たちの執務室があった。

重役の方々の執務室といっても、普通の企業のような重厚な感じはなく、カフェのようなテイストは一般社員たちが利用するエリアと変わらずスタイリッシュだ。

だが、突然の社長からの「お呼び出し」で緊張する稍は、青山を見上げた。相変わらず、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

一番奥の「President's Office」と掲げられたプレートがあるドアの前で、青山は一切の躊躇なくドアを三回ノックした。
心の準備ができていなかった稍は「ちょっと待ってよぅ」と焦った。

かちゃり、と音がして、ドアが開く。

顔を出したのは、艶やかな黒髪を持つ和風美人だった。社長秘書だろうか、と稍は思った。

しかし、そのとき、隣で息を飲む気配がした。

ふと見ると、会社での「鉄仮面を被った青山仕様」の彼が、明らかに彼女の顔を見てひどく驚いている。


「な…なぜ……あなたがここに？」