偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「なんで、あなたまでここにいるんですか?
……大橋さん」
青山は顳顬を押さえた。ずきずきと疼く。
「稍、この人は社長の奥様だ。結婚する前はTOMITAの秘書室にいたんだ」
創立記念パーティで息子と一緒に社長に寄り添っていた人だった。「大橋」は彼女の旧姓である。
「だって、あの『青山くん』が電撃結婚したって聞いたら、お相手がどんな人か見たいじゃん」
今日はそのためにわざわざ会社に来たのだ。
「あ……この度はご結婚おめでとうございます。葛城 誓子です。これから、よろしくね」
丁寧に頭を下げられて、稍もあわててお辞儀する。相手は社長の奥様だ。
「こ、こちらこそ……妻の稍です。
奥様、これからよろしくお願いいたします」
そして、誓子は青山の方を向いた。
「そんな堅苦しくなくったっていいのよ?
誓子って呼んでちょうだい。
あっ、あとで写真撮るからね。それとも、動画にしようかな?
LAの将吾さんに送るよう言われてんのよ。彩乃もすっごく見たがってるの」
彼女はかなり砕けた口調だ。
稍は目を白黒させていた。