偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

「ふうん……小学校の同級生だったんだぁ」

青山が渋々、稍との馴れ初めを吐かされていた。「ウソ設定」も織り交ぜて、ではあったが。

「あなたたち、そんなに長い間会ってなかったんでしょう?しかも、稍さんがこんなに美人に成長してるしさ」

誓子はなんか唐突な感じが拭えなくて、胡乱(うろん)な目を青山に向ける。

「青山、あんた、もしかして……かなり焦ってこの話、進めたんじゃないの?
ちゃんと稍さんの気持ち、考えてる?」

青山はそっぽを向いて、すっかり冷めたコーヒーに口をつける。

彼にとって「兄」のような存在が魚住だとすれば「姉」にあたるのがこの誓子だった。

TOMITAにいた頃、父の威を借りた「コネ入社」の誓子はろくに仕事ができなかった。
なのに、時折その根拠のない「迫力」で、人の心の(しん)を突くところがあった。

誓子はもう動画(ムービー)は撮っていない。
まどろっこしいので、スカイプで「実況生中継」していた。

LA(ロス)とは時差十七時間。
向こうは現在、昨日の午後五時だ。

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