偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
「じゃあ……見てみろ」
青山が稍のPCを山口へ向けた。
昨日と今朝のデータをグラフや表にしたものに、青山の厳選されてシンプルな説明を加えたスライドを開く。もちろん、一枚きりではない。スライドショーにして次々と見せた。
稍がレイアウトしたスライドは、パワーポイントでつくるプレゼン資料のお手本のように、フォントも配色もよく考えられていて、見やすくわかりやすいものだった。
初めてのパワーポイントであったが、ワードとエクセルを組み合わせた感覚でやれば、稍にとってはなんということもなかった。
暗号みたいなHTMLだけで自身のブログサイトをつくっていた子どもの頃から考えてみると、天国のような作業だ。まぁ、そのときの「地獄」のおかげで今でもソースを覗くとわくわくするが。
山口は驚きで目を見開いていた。
稍が「パワーポイント初心者」であることはつゆも知らない。
「短時間でこれだけのことができる者に、伝票整理などの雑用をさせる暇はない」
青山はきっぱりと言い切った。
「これは『Bun-Goo』のプレゼン資料だ。載るか載らないかでは、君の営業成績も変わってくるんじゃないか? わかったら、協力しろ」
山口は唇を噛んだ。