偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
Last chapter

♧危機♧


翌朝の(やや)は最悪だった。

二日酔いは、いっさいなかったが……いや、もしかしたらカラダの疲労が激しすぎて気がつかないだけかもしれない。

智史(さとふみ)の腕の中で目覚めたとき、

「悪かった、すまん、ごめん、稍」

彼がぎゅーっと抱きしめながら、気持ち悪いくらい殊勝な顔で謝ってくれたが。

……DVの彼氏や夫と(ちゃ)うねんからさー。ヤるだけヤって、あとでそんなに謝り倒すんやったら初めっから手加減しろっ、っていうねんっ!

黙ってぐったりしていたら、冷えピタを剥がしてくれたのはいいのだが、その額などに、ちゅっ、ちゅっ、としてきたから……これはマズいとあわてて身を起こした。


「……いくらなんでも、もう無理っ!」

稍は怒って寝室を出て、キッチンへ向かった。

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