偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎
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「……あいつと麻琴さんがなぁ」

チーム内では互いに「渡辺」「青山さん」と呼んで、特別親しい様子はなかった。

だが今思えば、ほかのメンバーが「麻琴ちゃん」「麻琴さん」と呼んでいるのに対して、青山の呼び方は不自然だったかもしれない。

もしかしたら、会社では秘密にしているのかも、と稍は思った。

「別に、社内恋愛禁止って会社でもなさそうなのになぁ……長身で美男美女の二人でお似合いなのに」

稍は帰りにファミマで買った、炭火焼きとりのもも塩を頬張った。もちろん、串から「直」である。稍は串から外さない派だ。

……あぁ、ファミマの炭火焼きとりって、デカくて旨いわぁ。

一緒に買ったアサヒスタイルフリーのプルトップを引き抜いて、くぅーっと呑む。
喉をしゅわわーーっと、下っていく。

今晩も家呑みだ。すでにシャワーも浴びてすっぴん状態、準備万端である。

玄関を入ってすぐにミニキッチン、その向かいにユニットバス、そして奥には造り付けのクローゼットを含めても八帖ほどの狭い部屋。
シングルベッドとローテーブルに無印のクッションソファを置けば、いっぱいいっぱいになってしまうが(テレビはない。見たいときはノートPCで見る)稍にとってはだれにも気兼ねなく過ごせる、至福の空間だ。

歴代の彼氏と違って、無印の「体にフィットするソファ・ミニサイズ」は裏切ることなく、稍の身体(からだ)をしっかり支えてくれる。
年季の入ったスウェットを着て呑んだくれてても、幻滅されることもない。

……ぁあっ、発泡酒だけど、旨いっ!
っていうか、最近発泡酒に慣れすぎて、なんだか普通のビールよか、美味しく感じるんですけれどもっ!!

稍は次に、かわ塩を頬張った。
それから、よしっ、タレでいこう、と決意して、スタイルフリーをぐーっと呑むと、かわタレを頬張る。ビール(本名は発泡酒)とよく合った。
最高のマリアージュだ。


それにしても……

稍は、今度はももタレを頬張ったあと、思った。

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