偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎

部屋に入ると、早速、稍をベッドに寝かせた。

「彼女に水を飲ませて」

そう医者から指示されて、山口があわてて冷蔵庫からペットボトルを持ってくる。

壁際にあるデスクの上にある電話の受話器を取って、医者がフロントに繋がるボタンをプッシュした。

『はい、こちらフロントでございます』

フロントクラークが出た。

「……あ、フロント?今ね、エレベーターの前で女性が倒れてるところに通りがかってね」

『……えっ、女性がエレベーターの前で倒れられた?』

フロントクラークが驚いている。

『それでは、すぐに救急車を要請いたします』

「いいや、救急車は必要ないよ」

『ですが、万が一のこともありますし』

「彼女は大丈夫だ。医者のお墨付きだよ。
……だって僕、医者だから」

そう言って彼は、ははは…と笑った。

「それで……今、その女性の連れの人がリザーブした部屋で(やす)ませてるんだけど……」

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